INTERVIEW

絶対どこかに自分と同じリアルが隠れている

――2015年にスタートした「響け!ユーフォニアム」シリーズですが、まずは当時の思い出を振り返っていただけますか。

最初に「響け!ユーフォニアム」のオーディションの連絡をいただいたときは、とてもうれしかったです。というのも、私は昔からアニメが好きで、京都アニメーションさんの作品も大好きだったので、すごくテンションが上がって。葉月役で受かったときはもちろんうれしかったんですけど、どこか実感のわかないところもあって、ちょっとふわふわしていた自覚がありますね。目が覚めたときに「あれ? これ、夢じゃないよな?」って、何回かマネージャーさんに確認しました(笑)。

――実感がわいてきたのは、どのタイミングですか?

実感としては、台本を手に取ったときですかね。あと、アフレコの前日に決起集会みたいなものがあったんですよ。前日にみんなで集まって、お食事会をして、「明日からのアフレコ頑張りましょう!」って。そこで私たちキャストは初めて顔を合わせました。アフレコ現場が初めてじゃなくて、前日に会えたことによって、次の日に「昨日ぶり!」みたいな感じのテンションになれて。そこからの積み重ねで自覚していった感じはありますね。

――北宇治カルテットのメンバーとの初対面の印象は覚えていますか?

実は安済知佳さんだけ別現場で会っていたのですが、その初対面のときの印象は「かっこいいお姉さんだな」と思いました。他のお二人は本作で初対面だったので、会う前にどんな方なのか自分なりに少し調べて確認させていただいていて。豊田萌絵ちゃんは写真の印象から「ふわふわしている子なのかな」と思ったんですけど、会ってみたらめちゃめちゃしっかりしている子でした。黒沢ともよちゃんはすごく明るいというか、フレンドリーというか、最初からフランクに話しかけてくれました。

――そこからTVシリーズや劇場版で作品の本数を重ねていくことになりますが、朝井さんご自身の中で作品や役への取り組み方は変わっていきましたか?

役を演じる上で、何かお芝居を変えたことは私の中ではないのですが、やっぱりアフレコ経験も浅いなかで収録した第1シーズンと、最近収録した劇場版を比べると、もしかしたら聴く人によっては変わっているというふうに感じるのかなとは思っていて。

――では、物語の中で葉月の変化や成長を感じることはありますか?

それは感じます。葉月に限らず、どのキャラクターもそうだと思うんですけど。

――葉月は主に“チームもなか”などサポートメンバーとして活躍し、2年生に進級した「誓いのフィナーレ」では後輩の面倒を見る立場にもなりました。

私も中学のときの部活がバスケ部だったんですけど、途中からマネージャーになったんですよ。選手からサポートする側に変わったので、そこもリンクしているなと個人的には感じてしまって。後輩で上手い子が入ってきたときも、「私は上級生だから教えなくちゃいけない」という部分と「でも、選手でもないのにどこまで言っていいんだろう?」という葛藤があったりして。葉月も先輩になって同じような苦悩があったんだろうなと、すごく感じていました。

――選手からマネージャーに転向する決断をするというのは、どこか加部ちゃん先輩のエピソードと重なる部分がありますね。

そこはたしかに加部ちゃんとリンクしているというか、「好きだから、サポートに回りたい」という気持ちはよくわかるし、私も同級生に「え? もうやらないの?」みたいな反応をされたので、その瞬間だけは葉月よりも加部ちゃん側の立ち位置になっていたのかなって、ちょっと感じます。「響け!ユーフォニアム」のすごいところって、人によって刺さるポイントは違うと思うんですけど、絶対どこかに自分と同じリアルが隠れているので、その穴にハマった瞬間に「響け!ユーフォニアム」にハマるのかなと思いますね。

「かけだすモナカ」は切っても切れない思い出です

――これまでのシリーズの中で印象的なエピソードを挙げるとしたら?

第1期の番外編「かけだすモナカ」が、私にとっては切っても切れない思い出のエピソードかなと感じます。恋愛のことだったり、コンクールのメンバーに選ばれなかったりと悔しい思いをしてきた葉月が、今後の吹奏楽部との向き合い方を決めた瞬間が垣間見えて、すごく大きなターニングポイントになったのかなと思うので。

――サポートメンバーが奮闘する様子がちゃんと描かれているというのがいいですよね。

その「サポートする」というのも「してあげている」じゃなくて、純粋に頑張ってほしいと思っているからサポートしているわけで。メンバーに選ばれたほうもそれが当然だと思っていないし、サポートしてくれているのがうれしいから、さらに頑張ろうって思える。その関係性が本当に素敵だなって。「青春、いいなあ」って思っちゃいますね(笑)。あと、劇場版も何作かやってきたなかで、「リズと青い鳥」は作風が違うというのもあって、これだけ関わり方がちょっと特別なんですね。アフレコもメイン二人と別日に収録していて、試写会で初めてお二人の芝居を聴いたんです。いつもは全体を通して収録するので、完成した作品を見るときも収録のときのことがどうしても頭の片隅に入っているんですけど、「リズと青い鳥」はそういうのがなく、そのまま楽しめたという意味で印象的な作品でした。

――登場人物の多い作品でもありますが、印象に残っているキャラクターは?

個人的には橋本先生がめちゃめちゃ印象に残っています。合宿になると来てくれるじゃないですか。だから、レアキャラだと思っているところがあって(笑)。たぶん視聴者の方でも、そう思っている方は多いんじゃないかな? あの外部指導者の先生たちが出てくることによって、滝先生のちょっと珍しい一面も見られたりしますし、先生たちの学生時代の物語も見てみたいなと思いますね。

――自分と性格が似ているキャラクターを選ぶとしたら、やはり葉月になりますか?

私は自他共に認めるキャラクターとのリンク率が高い人間なのかなと(笑)。自分でも台本を読むたび、収録のたびに感じていたんですけど、周りからも「似ているよね」と言われるようになりましたし、それこそニコ生とかイベントのときに「いちばんキャラとリンクしている人は誰ですか?」みたいな質問があると、みんなに「いや、あやちゅでしょ」って、絶対に言われるので。でも、それはすごくうれしいです。

――演じているうちに、より近づいてきた感じはありますか?

どうなんですかね? でも、楽器を演奏させてもらったときには「葉月もこういう感じだったんだ」と思えるポイントがいくつかありました。私も楽器というものに触ったのは授業のピアニカとか、リコーダーとか、それくらいだったので、初めてチューバを吹かせてもらえるとなったときに、いろんな感情を経験することができて。音が出たときの感動とか、初めて4人で合わせたときの、ガタガタの音でも1曲通してできたことへの喜びとか、キャラクターの体験したことを追体験させてもらえて、すごくよかったなと思います。

――楽器演奏もそうですし、北宇治カルテットとしてさまざまな活動をされてきましたが、その中でも印象に残っていることはありますか?

印象に残っているといいますか、私はお仕事として初めてのことを全部「響け!ユーフォニアム」で経験させてもらっているんですよ。人生で初めてのレコーディングも、人前で初めて歌うのも「トゥッティ!」でしたし、ラジオ番組もニコ生のレギュラーも初めてですし、いろんなことを経験させてもらってきているので、基本的には全部が印象深いです。

――北宇治高校の制服を着てみて、どうでしたか?

最初は「似合っているかな?」とか「うわ、うれしい!」という気持ちがあったんですけど、もうここまで来ると“衣装”ではないなというか……いや、もちろん衣装ではあるんですけど(笑)、これを着ると「ああ、ユーフォだな」という気持ちになるので、ユニフォームに近いんですよね。5年間、一緒に過ごしてきているので、本当に私たちの“制服”という感じです。ちゃんと名前も書かれてあるので。

――最初はこんなに長く続く作品になるとは思っていなかった?

「続いたらいいな」という思いは、どの作品にもあるんですけど、それが現実になることって難しいというか、あまり多くはないんですよね。1クールで終わってしまうものも多いですし、私がお仕事させてもらっているなかで、こんなに長く続いて、しかもメインで関わらせてもらうって、もしかしたら最初で最後なんじゃないかなというくらい。ここまで長い作品に出会えるというのは、私にとっても奇跡に近いことだなと感じます。

――改めて、「響け!ユーフォニアム」の魅力とは何だと思いますか?

先程お話しした、誰かしら絶対に経験したことがどこかに散りばめられているということと、それを京都アニメーションさんがきれいな映像で映し出してくれるので、より自分の経験をリアルに思い出せるということがあるんじゃないかなと思います。実際、いろんな人から「ユーフォ見たよ」という話を聞きますし、人に薦めたくなるというふうにも言ってもらえるので、そこも魅力なのかなと。まさに「響け!」じゃないですけど、音が波紋になって広がっていくように、どんどん周りの人に伝えたくなる。そこが「響け!ユーフォニアム」のよさというか、すごいところなのかなって思います。

――これまでの5年間、そしてこれからも「響け!ユーフォニアム」を応援してくれるファンの方へのメッセージをお願い致します。

今までファンの方がたくさん「響け!ユーフォニアム」を知ってくれて、「響け!ユーフォニアム」を楽しんでもらえて。「一緒に青春しましょう!」というフレーズをいつも言わせてもらっているんですけど、これからも変わらずに、一緒に青春してもらえたらうれしいなと思います。これから5周年記念ディスクもありますし、さらに続編も決まっていますし、まだまだ続きがありますので、楽しみに待っていてください!

And the next interview begins...

CAST INTERVIEW RELAY! 02

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